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緒言
周知の如く扁桃腺梅毒とAngina Plant-Vincenti(以下AVと略称)とは時に鑑別の困難なる疾患であるが,両者の各々が種々の合併症乃至継発症を伴う場合の報告例は非常に屡々見受けられるに拘らず,両者が互に合併乃至継発せる症例の報告は極めて少い。
最近余等は一度梅毒の感染を受けた1女性が駆梅療法に依り完全に治癒したと思われる頃,再び梅毒に感染し,同時にAVを合併せる症例に遭遇したので,医学的に興味を覚えたと同時に,此の患者が女性としてはインテリ層に属する未婚の官庁事務員であり,其感染径路として曾ては業態婦乃至類似業者のみに限られていたCoitus penobuccalis又はFellatioと称する所謂「尺八」なる異常性交に依つて生じたものである事を知るに及んで,敗戦国の辿るべき運命とは云い乍ら終戦後の我国の性道徳の頽癈振と,一部占領軍関係者の貪婪なる日本女性蹂躪振の一端を見せつけられ,自ら悲憤禁じ得ず,茲に社会的意義をも含めて報告に及び,広く御批判を仰ぐと同時に終戦の前後各々10ヵ年即ち併せて最近20年間に本邦に於て報告されたる陰部外初期硬結の統計的観察を試みたので茲に併せて報告せんとするものである。
SEKI and associates report a case of primary syphilis of the tonsil that showed a concommitant infection of Vincent's angina. The patient, a young woman aged 20, was reinfected by abnormal sexual practice at the time when it appeared that she had barely recovered from her original syphilitic infection by antiluetic treatments. The author believes that such abnormal practices have increased tremendously in recent years by advant of foreign influence.
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