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陰部外硬性下疳の13例
竹内 勝
1
,
後藤 玄英
1
,
天谷 一榮
1
1千葉大學醫學部皮膚泌尿器科教室
pp.354-356
発行日 1950年9月1日
Published Date 1950/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200390
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緒言
今回の世界大戰は敗戰と共に本邦の個人の生活樣式に急激な變化を來さしめ,約10年に亘る長い戰爭に基く精神的反動と外部から與えられた自由は社會の無秩序と混亂を招き,又一方經濟破綻に希望を失つた大衆は甚しい道義の頽廢に沈臨し自ら省る處がなかつたのは識者の等しく痛心して止まない處である。吾等も一介の性病醫として新日本の建設のため健全な生活が一日も早く軌道に乘り,再び勤勉で誠實な國民として國際活動の出來る日を鶴首して止まない。
戰後の性病の動向に關して著者は既に之れを論じたが,其後伊藤,坂野,谷野,谷村,石橋並に濱野氏等も同樣な事實を述べられた。漸減の傾向を示した性病が敗戰を境とし急激な増加を示し特に顯症梅毒の蔓延は注目を要する。一方余等は我教室20年の統計で定型的な陰部外下疳は僅に4例を經驗したにすぎなかつたが,過ぐる3年間に13例を得たので簡單に症例を報告し,併せて本邦文献を一瞥して見たいと思う。
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