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口唇硬性下疳
住吉 義級
1
1三菱病院
pp.31-32
発行日 1950年1月1日
Published Date 1950/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200298
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- 文献概要
陰部外硬性下疳は歐米で5-10%であるそうであるが,國情が關係するものであつて我國では比較的少ない方である。陰部外下疳のうち顔面に來るものは75%を占めるそうであつて,顔面以外のものは主として乳房或は手指に生じるものであろ。顔面では口唇,舌,齒齦,扁桃腺といつた口腔闘係の部位が最も多いのであつて,次で眼瞼,頬,頭,鼻等にも發生した報告がある。接吻行爲が主であるが,剃刀傷,咬傷,煙草,酒盃,等も誘因とたり得る解であろ。口唇下疳は陰部外硬性下疳の約70%を占めるものであるが,上下唇では宮崎氏は上口唇の方が稍々多數であつたと言ふが荒川氏は我が國の昭和元年以來10カ年間の文献に載つてゐる23症例では上口唇が8例,下口唇が12例,口角一例であつて下の方が多かつたといつていろ。尚ほ位置は右側が9例,左側が3例,中央が4例であつて右側に多いと言ふことは何かを物語つている様である。
陰部外下疳は普通陰部下疳と稍々樣子を異にしていて問診に依つてもヒントを得る事が少ないため當初診斷に躊躇する事がある。
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