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諸種耳鼻科疾患と血中カタラーゼ量との関係に就いて
佐藤 寬
1
,
小倉 義郞
1
1岡山大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.516-519
発行日 1954年12月20日
Published Date 1954/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201217
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第1章 緒言
カタラーゼ酵素とは広く動植物の細胞中に存在している有力な酸化還元酵素で,人間では赤血球,肝臓組織中に特に多量含まれている。その生理的機能については古くから種々論議されて来た処であるが,最近迄は一般に次の樣に考えられて来た。即ち,動植物組織に於ける正常な代謝過程では過酸化水素H2O2が組織中に産生されるが,細胞内に此のカタラーゼ酵素が存在する為に,之がH2O2をH2OとO2に分解し,H2O2の破壊的作用から組織細胞を防衛しその保全を保つていると。
以上の考え方からして,従来人体に於てはカタラーゼ酵素は必要欠くべからざるものの如く考えられて,此の酵素の研究が進められて来た。
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