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上顎惡性腫瘍の外科的適應と新切開法の治療的意義
木村 英雄
1
1松江赤十字病院
pp.125-133
発行日 1953年3月20日
Published Date 1953/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200861
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上顎の惡性腫瘍の大多數は癌腫であることは統計上明白にされて居るのであるが,他の部位の惡性腫瘍に對し甚だ特異なる存在を示すものである。今更多言を要すべき事柄ではないが皮癌,乳癌,子宮癌等について考えてみても其癌腫の存在部位の解剖的關係は到つて簡單なる場合が多いのである。
然るに一度いわゆる上顎癌なるものに接する時,何を以て上顎癌と定義すべきやと反問する程に其癌腫のある部位の解剖的關係は複雑である。従つて一般に上顎癌といつても歯槽突起に限局するものあり,上顎洞,頬骨に及ぶものもあり,篩骨,眼窠に渉るもの又は口蓋骨蝶形骨に及び更に進んでは翼状筋,咬筋に又は下顎關節,耳下腺に擴大し,遂には前頭腦膜も關與するのである。
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