Japanese
English
特集 慢性胃炎と胃潰瘍
慢性胃炎の胃切除適應についての臨床的検討
Clinical Criteria of Gastrectomy in chronic Gastritis
稗田 富士雄
1
Fujio HIEDA
1
1名古屋市立大学医学部外科学教室
1Surgical Clinic, Faculty of Medicine
pp.601-609
発行日 1954年9月20日
Published Date 1954/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201500
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緒言
昭和14年の日本外科学会に於いて友田教授は「胃炎の症状は潰瘍のそれと全く同様であつて内科的に難治のもの,出血を伴うもの,炎症性幽門肥厚により狭窄症状を呈するものは,相対的外科手術適応症である」と提唱し,またこれに前後して吉沢,瘳浜氏等は胃炎の胃切除治験例を報告して居るが,此れらはいずれも潰瘍症と同様の症状を呈して居り潰瘍と診断して手術を行い,之によつて始めて慢性胃炎たることが判つたものである.然しそれらの経験に基きUlcusbereitrehaft,Ulcuskrankheit ohne Ulcus,Antrumgastritis等と称されて居る慢性胃炎であつても,内科的療法で難治の場合は外科的手術療法の適応となし得ると唱えられるに至つた.
また一方慢性胃炎から癌が発生するという考えは古くBuchner,Konjetzny氏以来論ぜられ来つたが.現在では慢性胃炎を母地とする胃癌の存在は承認されて居り,ポリープ,潰瘍と共に慢性胃炎は癌性化の可能性大なるものとして重視されるに至つた.
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