特集 難聽研究の進歩
難聽の上頸神経節放射線療法
河田 政一
1
1久留米大学
pp.691-697
発行日 1952年12月20日
Published Date 1952/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200819
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言 凡そ難聽症例にとつては何よりも病歴の精査が重要であるが,それ等の本質を知る上には耳鏡的所見及びその他臨床的検査成績に加うるに適切な聽覚検査によつて判断されなければならない。
若し吾々が梢々古い成書,教科書等を開く場合耳硬化症等に就いては詳しい記載があるにも拘らず耳鏡的検査で殆んど異常を見出さずその聽力障碍の性状が感音系難聽に相当する如き原因不明の症例について得心の行く解説を期待するのは困難であろう。之に反して既知の聽神経毒その他の明瞭な原因による難聽に関しては臨床的或は実験的にも既に多くの知見が揃つているのである。又少し既往に遡ると之等症例が如何に無方針に各種の療法を受けて居り然も効果を伴わなかつたかの治療史の実際は中年以後の難聽患者の病歴がそのまゞ表現しているのを屡々見出すであろう。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.