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日本耳鼻咽喉科学の草創時代
田中 助一
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.459-464
発行日 1952年10月20日
Published Date 1952/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200769
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27年(1894)2月14日に賀古氏は南江堂より「耳科新書」の後編を刊行した。「耳科新書」は前後編を合本して菊版洋装496頁の1册本となり,卷首に聽器の挿図,山形有朋氏の題字が附いている。内容は「耳科研究の必要・耳科沿革の1斑・第1編聽器の診察法・第2編症候論・第3編耳病の〓稀・原因及予防・第4編1般療法・第5編耳翼の疾病・第6編外聽道の疾病・第7編鼓膜の疾病・第8編間耳の疾病・第9編神経器諸病・第10編外傷・新生物・畸形・第11編聾唖」等よりなり,附録として「病源候論」の耳病諸候,「外科正宗」の耳病篇,「医方類聚」の耳門等が抄録してある。そうして26年1月に書かれた例言によると,診断法の編はポリーツェル,ハルトマン,シユワルツェ三代の書を参照し,他はもつぱらハルトマン氏の書を参照し他はもつぱらハルトマン氏の書を参照して編述したものである。この本は40年7月10日に改訂増補第4版が出ているところよりかんがえると,ながく好評を保持したものであつたことがわかる。
なおそのころ本郷区春木町の器械商鈴木浅之助氏は,賀古氏選定の新式耳科,喉頭科,鼻科診断器械(1具2品・定価17円),同手術器械(1具31品・定価35円),新式喉頭手術器械(1具11品・定価9円50銭)を製作販売している。
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