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鼓膜穿孔治癒に関する実験的研究
高須 泰彦
1
1北海道大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.303-305
発行日 1952年7月20日
Published Date 1952/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200703
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緒言
鼓膜穿孔の治癒の時期を推定する必要にせまられる事は屡々あるが,特に中耳炎後の鼓膜穿孔又は外傷性の鼓膜穿孔について,患者が極めて神経質になる場合が多い。かかる場合その穿孔閉鎖の時機を言明することが出来るならば,治療上極めて有利である.
1930年E.Luscher氏が鼓膜顕微鏡を考案して以来,これを使用した生体鼓膜に関する研究は可成行われている.しかし乍ら多くはこれを顕微鏡的の観察にとどめたもので,その倍率を高め,且つ写真撮影の装置を創案し利用したのは本学平野氏である.余はこの鼓膜顕微鏡写真装置を一部利用し,蛙について人工的にこしらえた鼓膜穿孔閉鎖の状態を拡大描写し,更にその計測値よの柳-奥田氏創傷治癒係数を求めることにより治癒の時期を推定することが可能となるのではないかと考へ,以下実験を行い,又同時に諸種藥物の及ぼす影響並びに穿刺創治癒の状況を観察する機会を得て,聊か興味ある結果を見出したので報告する次第である.
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