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緒言
從卒白血病は不治の病であるとされ決定的な治療法は見出されていない現状であるが,之が治療法の發見に封する努力は,砒素,ペンゾールの投與,或はX線照射,更に放射能物質の驅使と營々として繼續されているが解決め緒を見出すに到つていない。而して最近惡性腫瘍に對する化學療法の展開につれて,白血病に對してもいくつかの藥物が一時的にもてはやされては消えて行く状態にある.しかし之等の藥物の内稍見るべき効果ありと稱せられるものに,ウレタンとナイトロジエン・マスタードがある.前者はHaddow,Sexton Paterson(1946)等により白血病に用いられて本邦でも武藤千田等の報告があつて相當有効であるとされているが,しかし全く病氣を終息させるという事はなく,中止すると再發することが報告されている.ナイトロジエン・マスタード(以下N. Mと略す)は1942年以來主にHodgkin氏病,淋巴肉腫等に用いられ,白血病に對しても試用されて近年に到り本邦にもその報告が見られる樣になつた.
我々も最近當教室に於て鼻閉塞を訴えて來た小兒に遇然發見された慢性淋巴性白血病の治療に當り,名古屋産業科學研究所岡崎附属工場製のN. M〔tris (beta-chloroethanol) amine〕を用いる機會を得たので簡單に報告する.
OUCHI and YAMAZAKI employed Nitorogen Mustard in treatment of lymphatic leukemia which occurred in a female infant aged 3 years and 1 month who suffered from highly impaired nasal breathing. They made notes on the progress of the case under this regimen especially concerning the changes that were_ brought about upon the mucous membrane of the mouth and the throat as well as that of the blood picture. Results of postmortem examination are also recorded. As diagnostic criteria of this disease the changes that occur in the mucous' membrane of laryngopharynx and the efficacy of nitrogen mustard for its treatment are discussed.
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