ナイトロジェン・マスタード

　ナイトロジエン・マスタード（Nitrogen mustard）とは，第一次世界大戰（1915）に獨軍によつて初めて使用された，毒瓦斯イペリットYperit即ちマスタード瓦斯-Sulfur Mustard S. M. のSをNで置換したものがNitrogen mustard N. M. である。

　Winternitz（1919-20）氏等によつて呼吸器系統に及ぼす影響が研究された。その後Berenblum（1935）はマスタード瓦斯やその他類似の化合物が腫瘍の發育を抑制することを報告しているが，特に淋巴組織に對する影響は著しいものがあつた。