Japanese
English
症例研究
分娩後母体に発生した顏面神経麻痺の2例
Two cases of maternal trigeminus neuralgia following labor
山本 皓一
1
Koichi Yamamoto
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.713-717
発行日 1956年10月10日
Published Date 1956/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201435
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緒言
妊娠・分娩・産褥の際には,内・外性器,内分泌器官を初めとして循環器系,新陳代謝等母体の全身に渉つて非妊時には見られない著しい変化が起るものであるが,このことは神経系に就いても勿論例外ではない。代謝産物の蓄積,諸種イオン濃度の変化,血液pHの変化等に依り神経系の機能は極めて不安定となり,ために妊娠・産褥時に於ける神経系は疾患発生に対して一種の準備状態にあるとも云えよう。従つて各種の神経疾患が起り易いことは当然であり,殊に末梢神経麻痺はその例が少い故かあまり注意されてないようであるが,視神経が犯されて失明したり,回帰神経麻痺の為に嚥下障碍を来したり,時には横隔膜神経麻痺の為に呼吸困難を来して致死せしめることがあるなど,必ずしも軽視することは出来ない。
最近私は分娩後突発した顔面神経麻痺Bell'spalsyの軽重2例を経験したのでここに報告し,これに関して少しく考察を加えて見たい。
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