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緒言
最近の顯著な化学療法の発達によつて耳科領域に於ても観血的療法は可なりの底下を見るに至つた事は皮肉の観に堪えぬ処であるが,これら化学療法の充分な使用にもかかわらず尚且手術的療法の必要に迫られ,内至は慢性型に移行する症例のある事は私共日常の臨床に時々散見するところである.私はこれらの見地から現今の化学療法に補足する意味で葉緑素の耳科的應用をこころみたので報告する次第である.葉緑素Chlorophyll,Blattgrünは植物の緑葉中に含まれて居る緑色色素でCarotin,Xanthopyll等のLipochromと共に葉緑粒Chloroplastの中に存在する.これ等の研究は1838年Bergeliusの時代から行われて,R. Willstätter,H. Fischer,A. Stoll等により今日では殆んど其の構造が明かにされている.即ちヂカルボン酸のメチル・フイチイル・エステルで血色素や胆汁色素に構造が酷似している
クロロフイルにはaとbとがあつて植物の葉の中に存在する割合はほぼ一定で3:1である.クロロフイルbはaの3の位置のメチル基のかわりにアルデヒド基がついているものである.両者の分子式は
Chlorophyllin a……(C32H30ON4Mg)(省略)
Chlorophyllin b……(C32H28O2N4Mg)(省略)
となる.これらは油には溶けるが水には溶けないから臨床的にはこの誘導体で水溶性のものが用いられ,其の内一般に使用されるのはChlorophyllinの塩類である.クロロフイリンは稀アルカリによつてクロロフイルのPhytol基及びMethyl基に飛んで二つのカルボン酸が遊離した二塩基性酸である.
Ono states that in vitro ohlorophyIlin is not bactericidal in action. The use of 2 per cent sotution by droppers in mal-odorous chronic suppurating ear is effective towards elimination of the odor; the amount of idscharges was decreased in some cases, but recurrences were also seen in considerable percentages of others; and it use in acute otitis madia present no advantage beyond those observed with use of rivanol, trypaflavin or merurochrome in other similar cases.
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