醫學のあゆみ・21
葉緑素—(クロロフイル)
杉 靖三郞
pp.21
発行日 1953年6月15日
Published Date 1953/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907310
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世は新緑の候となつた。野も山も,公園も庭先もすつかり緑に包まれてしまつた。この木や草の緑の色は,その中に葉緑素がふくまれているからである。
この葉緑素が,日光の力をうけて空氣中の炭酸ガスと根から吸い上げた水とを結合して炭水化物をつくり,生活體を構成する有機物の原基をつくりあげる原動力を與えていることは,誰でも知つているだろう。このことはすでに180年も前(日本では蘭學事始の頃)酸素發見者のプリーストリーが發見し,ペルチエーらによつてすでに1817年に一つの色素としてとり出され,クロロフイル(Chlorophyll)と命名されたのである。
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