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緒言
化膿性中耳炎は治癒するも,聽力は多少とも罹患前に比する時は惡化しているのである.その原因は種々あるもその大多數は鼓膜穿孔を殘すに依る.亦良性の陳舊性鼓膜穿孔も之を閉鎖し得るならば,或る程度の聽力恢復と外耳道よりする中耳再感染を防止するに投立ち患者に利する所多いのである.と共に我々臨床にあづかるものにも福音となるを疑わない.
余は此の鼓膜穿孔閉鎖にBenesi氏法を改良施行して,稍々成績を得たので報告すると共に諸彦の御追試を希望するものである.從來行なわれたるはHenhe,Litschkus,清水等の發表せる方法であるが,原理は穿孔縁を腐蝕劑を以て腐蝕剌戟して,肉芽増生劑を以て閉鎖せんとするものであるが一般に廣く行なわれてない.之に反しBenesiは1932硼酸酒清を以てする方法を發表している.本法は簡單にして而も彼の報告例3例には著效を得たとしている.下つて磯野氏等は本法を陳舊性鼓膜穿孔例約100例に施して推賞すべきであるとて,1938年その成績を發表しているが示來追試報告を見ないのである.余は日々診療に從事して如何にしてか穿孔を閉鎖し得るならと最近に至り磯野氏等の如く陳舊性鼓膜穿孔に限らず,耳漏停止直後の穿孔にも用いてみた.その方法と成績とを下に發表する.
According to Konishi successful cures of long standing perforations of tympanic membrane have been attained with complete closure of openings in 11 out of the total number of 25 cases that came under treatment. The author's method is as follows: The treatment is started on the first day by taking a small cotton pled. get which has been soaked in a 5% solution of protargol and inserting it in the ear canal in such a way that it would come in a direct contact with the perforation. From the second day on, the protargol solution is displaced by 70 % alcohol. The technic of application of the pledget is not changed.
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