研究
Dieckmann-河辺氏緩徐娩出法を追試して
志田 みつ
1
,
安喰 信子
1
,
松沢 淳子
1
,
阿部 つやえ
1
,
長岡 章子
1
,
佐藤 智子
1
,
木川 みち子
1
1山形県立中央病院産婦人科
pp.54-56
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202958
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Ⅰ.はじめに
胎児娩出の瞬間は私ども助産婦のもっとも緊張する時ですが,その介助方法として私どもは会陰保護を十分行ないつつ児頭の娩出を助け,次いですぐに肩胛娩出にうつるように教えられ,またそのように実行してまいりました.ところが,児頭娩出後ただちに肩胛が自然に滑脱してきわめて順調に経過する例もありますが,多くは肩胛娩出術的な行為をするのがつねであります.とくに胎児が大きい場合や産婦が肥満している場合は,肩胛娩出に困難することがしばしばで,しかも肩胛娩出期の多くは陣痛(子宮収縮)の間歇期にあるため,前在肩胛をはずすのに,ときには暴力とも思えるような手段で児頭を母体後方に圧して筋性斜頸の発生を心配したり,また余計な腹圧を要求して会陰裂傷を大きくしたりするような経験をする時がかなりあります.
最近私どもは,河辺博士によって紹介された.次のような主旨のDieckmann氏緩徐娩出法を知りました.すなわち,胎児の娩出が子宮収縮中になされれば胎盤はただちに剥離するが,間歇中に腹圧によって娩出されるときは胎盤の剥離は遅延する理である.そこで児頭娩出後肩胛の娩出を子宮の収縮をまってゆっくりと行ない,完全に児が娩出するまで少なくとも3分くらいの時間をかけ,かつ子宮収縮剤を併用することにより第3期時間の短縮と分娩時出血量の著明な減少を見たといいます.
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