小児と隣接領域 小児歯科・2
う蝕と咬合(その2)
菊池 進
1
1日歯大小児歯科
pp.140-141
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207046
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歯の形成と先天性疾患
小児が歯科を訪れるもののうちで,稀に多数歯の先天的欠如や奇形または全歯欠如などの極端なものも見られる.これらの多くは,先天性疾患の症候群のひとつとしてみられることが多い.歯科に来院するこれらの症候群を持った小児は,外胚葉性異形成Ectodermal dysplasiaや鎖骨頭蓋異骨症Cleidocranial dysostosisなどがあり,この場合には多数歯の先天的欠如や過剰歯などがみられるが,また,先天性梅毒やRieger症候群などの場合にも同様に多数歯の先天性欠如や奇形がみられる.また,遺伝的素因を持ったもののなかで,歯質の形成不全を表すものがある.それは,エナメル質形成不全症Amelogenesis imperfecta,遺伝性象牙質形成不全症Hereditary dentinogenesisimperfecta(hereditary opalescent dentin)など,歯の形成の異常がみられることがある,こういう先天的な歯の形成不全は歯列全体に起こるものである.後天的になんらかの影響,たとえば,1〜2歳頃に熱性疾患などに罹患すると,その時に形成中の部分に形成不全の横縞の帯がみられる.こういったかたちのものは,全身的な疾患に,その時点で患ったことを意味している.また,不規則に,1歯,2歯に形成不全の部分のある歯の場合は,乳歯のう蝕の悪化が永久歯の芽に及んだものと考えられている.
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