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錐體炎に就て
仁保 正次
1
,
仁保 三四次
1
,
望月 昇
1
1横濱鏡友會
pp.9-14
発行日 1949年1月20日
Published Date 1949/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200118
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第2編 側頭骨炎(所謂廣義の中耳炎)の提唱
第1章 緒言
前篇に既に記載した樣に錐體炎を理解するには所謂中耳炎なる言葉の定義を鼓室に限定し,或は稍々廣義にして歐氏管,鼓室及び乳樣蜂窠に限定する事なく,更に廣義にして歐氏管,鼓室及び廣義の乳樣蜂窠,更に錐體蜂窠を此に加へ,更に斯かる側頭骨含氣蜂窠の炎症即ち側頭骨含氣蜂窠炎に骨炎骨體炎を加へ側頭骨炎として全側頭骨病竈を一括して考へなければならない.
然しながら從來は中耳炎,乳樣突起炎及び錐體炎は個々に別個の疾患とせられ,乳樣突起炎は中耳炎の合併症とせられ錐體炎は中耳炎或は乳樣突起炎の合併症とせられてゐた.更に從來中耳炎と呼ばれる疾患の語義は狹義には鼓室内の炎症を意味し,稍々廣義には解剖學的中耳腔即ち歐氏管,鼓室及び乳樣蜂窠の炎症を意味し,更に廣義には此に錐體蜂窠の炎症が加はり,更に骨が侵されてもやはり中耳炎と謂ふ.唯昔の「耳だれ」と云ふ語を中耳炎と變へただけである.
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