論述
腎糸球體に就て
阿久津 勉
1
1東京醫科齒科大學 皮膚泌尿器科教室
pp.14-18
発行日 1952年8月15日
Published Date 1952/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905663
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腎臓に於ける尿生成の機構に關して,既に1543年Andreas Vesalius等は第1圖に示すが如く,腎臓は1個の濾過膜としての篩を有し,腎内血液から濾過によつて尿を生成すると考えて居つたがMarcell Malphigi1)(1666)が,糸球體を發見後,Selumlansky2) に續きJohannes Müller3)等はMalphigi氏小體は單なる血液のReceptaculaであり,尿は尿細管で生成されると述べ,更に1824年に至りWilliam Bowman4)により所謂Bowmansche Kapselも見出された。即ちこの小體は内皮細胞より成る非常に薄い膜に掩われておることを腎動脈より醋酸鉛,重クローム酸カリを注入して證明した。この樣な形態學的研究の發展につれて,腎臓内尿生成の生理學的領域にも幾多の知見が加えられ,枚擧に遑ない數多くの論文が提出され,Cushny5)の廣汎な研究,又Richard6)一門の特異な研究成果の發表等により,この糸球體の持つ役割が一段と明確になりつつあるが,まだ解かれざる幾多の問題をも包藏している。
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