論説
牙關緊急を主訴とせる頭部破傷風の1例
松村 久
1
1岡山醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.163-166
発行日 1948年8月1日
Published Date 1948/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200084
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破傷風は通例身體の何處かに傳染創と惟はれるものを受けた後に、牙關緊、脳神經症状、後弓反張等の定型的症状を具備して發病するので、我々耳鼻咽喉科醫に於ても尠しく平素より本症に注意し居れば、その診斷は左程困難でなない。
然し乍ら、破傷風の中に、頭部破傷風と云つて、其症状として顏面神經麻痺を伴ふ事もあるが、主として牙關緊急のみを以て現れ來るものがある。其際發病が受傷後短時日であれば、此頭部破傷風に想到する事も難事ではないが、既に受傷後相當日數を經過し、原病竈は殆ど又は全く治癒し居る頃に本症が現れると、其診斷は必ずしも容易では無い。
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