Japanese
English
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最近における性病感染危惧者の統計的観察
A RECENT STATISTIC OBSERVATION ON THOSE WHO FEAR OF VENEREAL INFECTION
片庭 義雄
1
,
角田 和男
1
,
岩田 正雄
1
,
管野 朗
1
Yoshio KATANIWA
1
,
Kazuo TSUNODA
1
,
Masao IWATA
1
,
Akira SUGANO
1
1日大性病科
1Department of Venereology, Nihon University School of Medicine
pp.1293-1297
発行日 1966年12月1日
Published Date 1966/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204526
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I.緒 言
昭和33年4月,売春禁止法の施行に当り,これに反対する人々の多くは性病が増加するであろうことを第一の理由に挙げた。しかし,ひとたび,法が施行されると,当然のことながら,売春は潜行的となり,これに対する予防措置も一部街娼になされたのみで,ほとんど放置状態で今日に到つたため,この間,海外では性病の増加が報じられ,その感染経路や予防対策が検討されているのに反し,わが国の年次報告では,年々減少の途を辿るという当初の心配とは一見逆を思わせる数字が認められた。昭和36年,福岡の皆見名誉教授の報告にはじまる新感染梅毒が,翌37年には阪神地方からも報告されるに到り,はじめてその増加が認められるようになつたが,淋疾については,わずかに水野等の女子側からみた報告があるのみで,その増減については未だ報告例をみない。40年度厚生白書中にも顕症梅毒増加の数値のみで,淋疾の記載は全くみられず,梅毒に関しては世論も流行を認め官庁においても予防措置を云々する機運になりつつあるが,当然梅毒と共に増加するであろう疾病が,余りにも顧みられていない。また,感染源についてはその実態が次第に明らかになりつつあるにも拘わらず,これに関係した報告は,わずかに園田のそれをみるに過ぎない。調査対象が主として男子であることから,私共は,感染源を中心に,性病の増減,その他を幾分なりとも源明しようと,昭和38年6月から40年8月までの約2カ年間に外来を訪れた性病感染危惧者167名に下記の項目にわたる統計的観察を試み,若干の考按を加えた。
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