疾患の病態と治療 感染症--最近の動き
最近の性病について
水間 圭祐
1
Keisuke Mizuma
1
1日本大学医学部性病学教室
pp.129-132
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205368
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近年発表されるすべての性病の統計的数値は日本における性病の爆発的流行を否定し,一応鎮静状態にあるものということができる。顕症梅毒症例は,ほとんど姿を消し,学生の臨床実習にもこと欠くような状態である。その反面,梅毒性脱毛が,円形脱毛症として第一線の医師により治療されていたという笑えぬ事実もある。今日のような罹患率の低下は,何といつても,石油ショック以来のわが国のおかれている政治的,経済的事情により,感染源の輸入が極端に少なくなつたことが大きな原因の一つとなつていることは争えない事実であろう。しかしわが国以外の欧米の先進国をはじめ,開発途上国ではいぜん流行の波の上昇が伝えられ,そのコントロールに腐心しているのが現状であるという。とかく流行の波がおちると行政の面でも等閑視されるのが,わが国の実情であるが,最近の皮膚科学会東京地方会でも2,3の顕症梅毒の報告例もあり,小流行の兆しともならないものでもないので,日本を含め諸外国の現況について述べ,将来の問題点について考えてみたい。
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