特集 出生前診断と助産婦
着床前診断を危惧する
利光 恵子
1
1優生思想を問うネットワーク
pp.397-402
発行日 1999年5月25日
Published Date 1999/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902167
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はじめに
私は,「優生思想を問うネットワーク」に5年前に参加,出生前診断についても考え続けるようになった。「優生思想を問うネットワーク」(以下,「ネットワーク」)というのは,障害者や女性を中心としたゆるやかな集まりである。
「ネットワーク」では,障害をもつ胎児の中絶をめぐって,女性と障害者それぞれの経験や思いを率直に伝え合い,時には激しい論争を繰り返しながら,自分たちにとっての出生前診断の意味を明確にしようと努力してきた。特に,今,臨床への導入が図られている受精卵の着床前遺伝子診断(以下,着床前診断)については,当初から大きな関心を持って取り組んでおり,これを進めようとしている医学者や研究者,日本産科婦人科学会(以下,学会)の方々とも何度も話し合いを持ってきた(表)。
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