Japanese
English
特集 シンポジウムI.皮膚の病態生化学
「皮膚の病態生化学」のまとめ
CONCLUSION OF PATHOLOGICAL BIOCHEMISTRY IN THE SKIN
谷奥 喜平
1
Kihei TANIOKU
1
1岡山大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Okayama University Medical School
pp.1203-1208
発行日 1965年11月20日
Published Date 1965/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204232
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
我々が皮膚の病態生化学に興味を持つに至つた理由は次の点にあると云い得る。従来の臨床医学は多くは臓器別に研究分野が分かれており,かつ形態を中心とした病名をつけることが多かつた。この傾向は皮膚科学では特に強かつた。即ち従来の皮膚科学が記載皮膚科学として発達した理由としては,第1に発疹の複雑さ,細緻さと,これを目のあたりに見ることが可能であり,従つて発疹の精密な観察,記載の上に発達したためである。しかもかかる発疹が人種・性別・年令並びに発生部位により形態的差異を示す結果,2つ3つと形容詞を連らねた物々しい学名の病名が次から次へと生み出され,その追加,改廃が絶間なく行なわれ,皮膚科学書の目次には夥しい数の病名が並ぶようになり,皮膚科図譜はこれ等のカラー写真を盛つて百花繚乱の趣きを誇る様になつた。この記載皮膚科学の傾向をさらに助長したのは皮膚疾患の内在的原因乃至内在的機序の把握が困難である点であつた。しかし一方近年になり,Libman et Sacksにより見出された急性播種状紅斑性狼瘡の皮膚病変と心臓の変化並びに腎病変との関係,HargravesによるL. E. 細胞,L. E. 現象の発見は,近年迄皮膚疾患とされていた紅斑性狼瘡に対する概念を変え,これを全身性疾患視する様になつた。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.