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東京都より札幌市に転勤して約2ヵ月余,北海道の冬を迎えた所,今迄に色々と北海道の冬に就いて聞かされ,又本での知識で相当に覚悟したせいもあつてか,余り寒さに就いては身にごたへないで,例年より早いといはれる降雪の風景を観賞している。10余年前に米国に於て滞在していたオレゴン州ポートランド市と姉妹都市である札幌市は,その郊外の高台より市の中心部を眺めると,両市は非常に似ており,道路や上下水道が完備すれば,札幌市の生活も彼の地に比して劣るものでないと思われる。
札幌医科大学に就いて少しく述れば,本学は北海道立であり(市立と思つている人も多いが)目下開校15周年を迎えんとしており,大学附属病院もここ数年間に亘り着々と新築,改築され,近代装備がぞくぞくと導入されている。当皮膚科も本年度に泌尿器科より独立診療科として分かれ,3年計画で完成される予定である。近々新しい研究室,外来,入院病棟と出来上る計画で,現在教室員全員8名と小さいながら,皆和気靄々とその日の仕事を又将来の研究テーマの計画を胸に新しい希望に燃えている。研究費も少いながら新しい研究室の整備に専心して,小さいながらも近代的設備を持つた研究室の建設に努力している。又入院病室に於ては各科共に小児専用入院室を作る案があり,皮膚科に於ても小児は外国でのChildren's Hospitalのその如く,小児のみの世界の中に入院生活が行われる様に計画している。又他科の研究活動も活発であり,基礎医学と臨床医学との共同研究はこの小さい単科大学の特長を生かし,大いに行われていることも本大学の特長といえると思う。又中央写真室及び附属団書館も非常によく完備され,研究活動を援助すること大で,大いに心強い事である。
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