文献紹介
皮膚癌前駆症の放射線療法,他
pp.744
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203843
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癌前駆症の全てが放射線療法の適応とはならない。多くは放射線療法を必要とするが,幾つかは簡単な外科的手段で除去される。また放射線に感受性を持たないものもある。従つて,放射線療法の適応は疾患の種類と各症例の状態に応じて決定すべきものである。癌前駆症としては老人性角化腫,皮角,ボーエン病,紅色肥厚症,パジェット病,黒色癌前駆症および白色角化症がある。老人性角化腫は放射線感受性を持つが,電気凝固法を第一とすべきで,癌性変化が認められた場合に放射線療法を行う。皮角は切除が最良の手段であるが,常に組織学的検索を行い,癌性変化を見逃してはならない。ボーエン病は放射線感受性が高い。あまり拡大しないものは摘出も良い。紅色肥厚症も適応となる。乳房パジェット病は乳房切除を施行する。乳房外パジェット症は相当程度放射線療法が期待出来る。黒色癌前駆症は絶対適応となる。疣贅状白色角化症は放射線感受性が低い。線質として,病変の深さ(mm)に一致する組織半価層(mm)を持つ放射線を撰択する。病変の深さは,老人性角化腫で0.6mm,黒色癌前駆症で1mm,ボーエン病で2mm,紅色肥厚症で3mmとなる。これらに用いる放射線として,軟線が最も秀れている。β—線は組織半価層が1mmのため,病変の深さが1mm以内の疾患に適している。推薦する線量は表の如くである。これらの数値は病巣直経が3-4cm以内のものに適している。(Schirren, C. G.: Strahlenthe rapie von Pracancerosen der Haut, Hautarzt, 14; 493, 1963)
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