Japanese
English
特集 老人の皮膚泌尿器疾患
癌前駆症
PRECANCEROSIS
山本 俊平
1
,
太藤 重夫
1
Toshihira YAMAMOTO
1
,
Shigeo OFUJI
1
1京都大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, University of Kyoto, School of medicine
pp.1385-1391
発行日 1958年12月20日
Published Date 1958/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202436
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I.緒言
Dubreuilhが1896年に皮膚癌前駆症(以下Pr.)の概念といて「癌に先行し,その領域に一定の規律をもつて癌が発生する所の皮膚病変」と述べた。その後癌に先駆する特異的病的状態を仮定し,これをPr.と呼ぶ人々(Unna,Bowen)もあつたが,今日の所では一般に一定の皮膚症状を有し,そのまま持続することもあるが,又これから癌性変化を生ずることのある皮膚病変(北村1))の総合的名称とされている。
通常Pr.は狭義のPr.と広義のPr.に分けられるが,この言葉の意味の解釈は人により多少異り,従つて各々に属する疾患の種類も異なるようである。田阪2)は狭義に於けるPr.を「殆んど常に癌を発生すると思われる諸種疾患」としてPaget氏病,Bowen氏病,紅色肥厚症,白色角化症,皮角,コンヂローム状癌前駆症,癌前駆性メラノーゼ,疣贅状表皮発育異常症,色素性乾皮症,水夫皮膚,レントゲン皮膚炎を含め,広義のPr.を「癌とは全く異なる病変として知られていながら往々それを基礎として癌の発生する虞のある疾患」として尋常性狼瘡,紅斑性狼瘡,瘢痕,母斑,老年性角化症,慢性湿疹,ケロイド,乾癬,ダリエー氏病,職業性皮膚炎(パラフイン,テール)を属せしめている。
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