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思いつくまま(39)
黒田 恭一
1
1金沢大学医学部泌尿器科
pp.727
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203839
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当地へ赴任後約9年の月日が流れたが,その間に日本泌尿器科学会第49回総会,同第200回記念金沢地方会,金沢大学医学部創立百年祭などの思い出多い行事を経験した。なお金沢地方会は本年(第215回)より皮膚科地方会と完全に分離され,名称も日本泌尿器科学会北陸地方会と改められた。金沢地方会の名は永年にわたり親しまれてきたが,本地方会の会員が主として石川,富山,福井の北陸三県にわたつているので,独立を機会に改名にふみきつた次第である。
泌尿器科と皮膚科の分離は,学問の性質上からも相互の発展の見地からしても,当然の結果である。大都市の主要病院においては,外科の部門の中に脳外科や胸部外科が独立しているところが少なくない現段階において,外科的色彩の濃い泌尿器科,内科的色彩の濃い皮膚科という診療内容を全く異にした両科が,1つの科として取り扱われ,しかも同一人により診察されることは,むしろ奇異の感さえ抱かせる。しかし地方の僻村では,下(陰部)の病気なら泌尿器科を訪れるが,手術が必要となると外科医の許へ赴くという嘆かわしい風潮がいまだに残つていることを否みえない現状である。
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