文献紹介
ビタミンB12欠乏による色素沈着,他
pp.646
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203820
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標記の色素沈着を観察し得た患者はすべてインド人であつた。その色は濃褐あるいは褐黒であり,最も著明な部位は手と足および指趾末節であつた。手と足でも背面に著しく,特に指趾関節部に顕著であつた。通例,爪と爪床は侵されないが,少数例においては爪全面に着色し,あるいは縦線を示した。かかる色素沈着と共に身体諸部にも色素沈着を示す症例があり,全身,掌蹠,顔面,口腔粘膜,舌,大腿,上肢,腋窩などであつた。全例において血中ビタミンB12値は低く(平均49μμg/ml),多くは脂肪便と吸収不良の症候を示した。ビタミンB12の注射により色素次着は速やかに消褪した。葉酸による治療も試みたが,これは無効であつた。かかる特異的色素沈着は諸所のインド人に見られているが,コーカサス人に生じた報告はない。著者は,有色人種の皮膚におけるメラニン産生の生化学的機序にビタミンB12が関与していると考えているがその詳細はもちろん不明である。
(Baker, S. J. et al.:Hyperpigmentation of Skin, a Sign of Vitamin-B12 Deficiency, Brit, Med, J.,1713, June 29, 1963)
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