海外見聞記(4)
前立腺肥大症あれこれ
中村 宏
1
1慶大泌尿器科
pp.1153-1154
発行日 1963年12月1日
Published Date 1963/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203659
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あちらにこの疾患の多いことは渡米前から知つていたが,これ程多いとは思わなかつた。又その大きさも日本のに比べると遙かに大きく,100グラム以上あるのも決して珍しくなかつた。勿論症状そのものに違いはないが,これより前立腺炎を起こす例が少なくなく,更にurosepsisへと進展するものも可成り多かった。従って前立腺肥大症患者の尿道内器具挿入操作は堅く禁じられていた。残尿検査で導尿することは勿論のこと,尿道撮影も余程特殊な例を除いては行なわれていなかった。
前立腺手術の術式撰択については前立腺の大きさが30〜40グラム以下と思われる場合にはTURを,それ以上と思われる場合にはopen sur-geryが行なわれていた。又マウント・サイナイで行なわれていたopensurgeryはすべてsuprapubicでやられていた。Retropubicは一例も見なかった。Suprapubicとretro-pubicとの優劣は色々あるが,一番重要な点は止血の問題で,後者は直視下に止血を行なうことが出来るが前者はそれが出来ないと云うことなのであるが,マウント・サイナイのアテンディングの意見によると,suprapubicでも十分に出血をコントロールすることが出来ると主張していた。
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