治療のポイント
前立腺肥大症の治療
志田 圭三
pp.547-549
発行日 1964年7月10日
Published Date 1964/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200368
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治療方式の選定
前立腺肥大症の治療としては,根治的療法として①被膜下前立腺剔除術,②経尿道的前立腺切除術(T. U. R)があり,対症療法としては,③膀胱瘻設置術などがある。T. U. Rは切開手術でないため,一見侵襲が少ないように思えるが,実際的には,出血も少なくなく,かつ内視鏡操作時の灌流液による溶血現象も見られる。また,十分に切除を行なわぬと数年後に再発の可能性もあるので,当教室では,特殊の症例以外は行なつていない。大部分は,被膜下前立腺剔除術を行なつている。術式の詳細については後述するが,ともかく本症は良性のものであり,腺腫を完全に剔除するときには再現はなく,しかも出血量,その他手術的侵襲も以前に考えられていたほど大きなものでないので,もつぱら手術的に行なうことにしている。高度の心不全,コントロール不可能な糖尿病などのように,重篤なる合併症のある場合にかぎり,膀胱瘻設置を施行している.
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