文献紹介
ベーチッェト病/Danielsの生検
pp.446,507
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203509
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本症の3症状のうち,口腔粘膜アフタ様病変および潰瘍性陰部病変が長期にわたつて存していても,眼症状が本症の診断を正確にする。眼症状は再発性前房蓄膿虹彩炎であり,前房蓄膿を伴なう他の虹彩炎および葡萄膜炎とは,卒然と発症し,前房蓄膿は直ちに消退することによつて鑑別できる。再発を繰返しても両眼が同時に侵されることは殆んどない。本症におけるアフタ様粘膜病変は常習性アフタと異なつて,不規則に発生し,多くは数日後に大なる障害を残さずに治癒する。口腔から始まつて口蓋弓,扁桃,咽頭から会厭および声帯に波及し,また後二者にのみ発生することもある。陰部潰瘍は眼症状が進んでも患者の訴えないことが少なくない。色素脱失性瘢痕で治癒する潰瘍は,男子では亀頭を含めて全外陰に,女子では腟にも発生することがある。以上の3症状の億かに毛嚢炎,膿疱,癤,水疱性潰瘍性膿皮症,特に紅斑が躯幹および四肢に見られることもある。結節性紅斑は必須ではないが最も多い症状である。関節炎も本症の早期および随伴症状である。一般に1個の関節が侵され,腫脹は一過性である。関節炎とほぼ同頻度に血栓性静脈炎が発生する。更に脳膜脳炎のみならず脳脊髄炎の症状で経過する本症もある。(Becker, J. ;Die BehcetscheKrankheit, Dtsch. med. Wschr. , 87. Jg. , 1903, 1962)
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