書評
—著 P.R.Wheater H.G.Burkitt V.G.Daniels 監訳 山田英智(東京大学教授) 訳 石川春律(東京大学助教授) 広沢一成(東京大学助教授)—機能を中心とした図説組織学〈日本版〉
山本 敏行
pp.888
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204818
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Wheater,Burkitt,and Daniels著"Functional Histology"の訳本が出た。訳者は,山田英智教授を中心とする,束京大学のスタッフ3名である。いずれも当代一流の組織学者だけに,さすがに見事な訳というほかはない。また,本書は,これだけの力量を持つ訳者たちの,食指を動かすに足る内容を備えているように思う。
「図説組織学」という書名が示すように,本書は,電顕写真と,すべてカラーの豊富な光顕写真を中心に編集されている。とくに光顕写真は大部分本書のために新たに作製した標本によるものであつて,きわめて鮮明であり,色調の再現もよく,実に美しい。この点,序文を引き受けられたロンドンのR.Warwick教授が「希有な優秀さ」と評しておられるのも,うなづけるのである。細胞や組織・器官の繊細な構造は,美しく,優れた標本からしか読み取ることができない。本書のページを満たす数々の写真は,なによりも雄弁に,そして生き生きと,顕微の世界のあるがままの姿を,われわれに語つてくれる。
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