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思いつくまま(21)
浜口 次生
Tsuguo HAMAGUCHI
pp.1019
発行日 1962年11月1日
Published Date 1962/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203394
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高等学校の理科に入つて文科に入るべきだつたと思い医学部に入つてこれは愈々おのが道を誤つたと感じた私でしたが,最後に山本俊平教授の教室に入つてから今日まで,皮膚科学を専攻したことを一度も後悔したことはありません。とはいうもののこれといつた業績もなく申訳ないことですが,それでも結構私なりに楽しんできたつもりです。京大時代以来主として手がけているのはアレルギーと紅斑性狼瘡の二つですが,アレルギーの方はいうまでもなく生化学,生物理につながり,紅斑性狼瘡も新たな免疫の面,そして遺伝さえも問題とされるに及んで,Rostenbergのいう《医学はやがて生化学と遺伝学の小分野にすぎなくなるだろう》という言葉をまざまざと想起させられる次第です。しかし私は一族に化学の各分野から遺伝学をやる人間までいて,そういう連中に媚を呈するのは御免だという気持も手伝つて,どこまでも臨床家でなければできないような着眼のもとに研究を進めたいという希望を特に強くもつています。そしてめざましい現代医学の進歩からみれば,落穂拾いのような仕事も着実にやつてみようと思います。
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