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思いつくまま(17)
Tsutomu INADA
pp.657
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203323
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- 文献概要
医界或いは医学会には学問に直接の関係のある事の他に医療制度とか医育制度とかの領域に於ても多くの問題がある。去る5月に開かれた全國医学部長会議に於ても種々の問題が討議せられたようであり医界ニュースの伝える所に基づいて考えてみよう。
基礎医学の衰微防止対策として(1)基礎志望学生全てに育英会奨学金を交付する。(2)大学及び大学院の授業料を免除する。(4)助手の俸給を増額する。(4)論文博士の研究歴を助手は4年(現在5年)とする。等である。いずれも結構である。次に基礎医学の充実方策として(1)講座研究費の増額及び研究施設の更新。(2)講師の設置及び助手定員の増員。(3)講座の増設。なおインターン制度は基礎医学への熱意を失わせる原因になっている等。いずれも当然の事である。現行医療制度の改善に関する件として前回に学術会議の勧告を支持する決議を行ったがその後の情勢はうまくいっていない。私はあの勧告の中の差額徴集を認めるような点には賛成しない。インターン制度の実施についてはこれの廃止が要望せられたが存続を望む意見もあり決議としては医学教育の改善を行いつつ廃止の方向へ進む事になった。インターン制度は重要な問題だ。厚生省が文部省の中に割り込んでいるような点もある。在学4年間の教育を適当に行う事によってこの制度を廃止する事は可能である。医師試験が必要ならば卒業と同時に行う事も出来る。
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