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海外トピックス
pp.1015
発行日 1960年11月1日
Published Date 1960/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202946
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静注性大動脈レ線撮影法
近年血管外科の進歩に伴い大動脈及びその主分枝の病変を正確に描出することが益々必要となつてきた。1929年dos Santosによつて始められた経腰的大動脈レ線撮影法はこの要求に答えるところ大であつたが,この方法は重篤な合併症をひき起すことがあり,McAfee andWillson (1956)の統計によれば,12,832例中死亡例を含む重症合併症は1.02%であり,死亡率は0.28%である。従つてこの方法の適応は非常に慎重になされねばならないし,Lindtonその他の人々のようにこの方法を放棄してしまつた人さえある。左心室,大動脈弓部,鎖骨下動脈,上臆動脈或いは大腿動脈などを通じての方法で大動脈を描出する方法が考えられているが,すべて外科的な技術を要し,動脈血栓及び出血の危険を有している。こういう直接的な動脈への到達法に伴う障害は注射部位における局所的な要因,特に非直視穿刺法によつておこるものが大部分で,造影剤に対するアレルギー反応によるものはごく一部にすぎない。こういう理由から,静脈注射による大動脈レ線撮影が可能なら,その利益は非常に大きいと考えられる。
最近相次いで,この静注性大動脈レ線撮影法の試みが報告された。
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