Japanese
English
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グリセオフルビンによる白癬の経口的療法について
ON THE ORAL TREATMENT OF DERMATOMYCOSES WITH GRISEOFULVIN
高橋 吉定
1
,
高橋 伸也
1
Yoshisada TAKAHASHI
1
,
Shinya TAKAHASHI
1
1東北大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
pp.587-592
発行日 1960年7月1日
Published Date 1960/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202853
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I.緒言
グリセオフルビンは,1939年にOxford,Rai-strick,Simonart1)によつてPenicillium gris-eofulvum Dierckxから分離された1種の抗生物質で1958年にGentles2)およびLauder,O'Sul-livan3)は本剤が動物の白癬に対して有効であることを認め,次いで同年Williams,Marten,Sarkaney4),Blank,Roth5),Riehl6)が白癬患者に投与して治療効果の優れていることを確認してから,にわかに注目されるに至つた。グリセオフルビンの薬理学的特長は,内服によつて白癬を治癒せしめ得ることにあり,且つ従来の外用療法によつては極めて難治であつた汗疱状白癬のある症例や,殆んど治癒せしめ得なかつた爪白癬および頭部白癬に対しても治効を示す点において劃期的な抗白癬剤である。
わが国においても昨年来,多くの研究者によつてグリセオフルビンによる白癬の治療実験が試みられて,その有効性が追証せられたが,われわれも昨年5月以来の臨床実験によつてその卓越せる効果を観察し,その成績の一部は既にこれを報告した7)。今回は其後アメリカ・シエリング社のグリセオフルビン(フルビスタチン)を用いて行つた実験の成績と,2,3の知見について報告する。
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