Japanese
English
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微粒子グリセオフルビンの皮膚糸状菌症に対する治験
TREATMENT OF DERMATOMYCOSES WITH FINE-PARTICLE GRISEOFULVIN
藤沢 伸次
1
,
渡辺 昌平
1
Shinji FUJISAWA
1
,
Shohei WATANABE
1
1京都大学皮膚科教室
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.855-859
発行日 1963年9月1日
Published Date 1963/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203596
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I.緒言
グリセオフルビンはOxford et al.(1939)により約20年余り前にPenicillium griseofulvumDierckxから得られた抗生物質である。Brian(1949)はグリセオフルビンが多くのカビに対して"curling effect"を持つていることを立証し,ためにグリセオフルビンはまず最初は農薬として植物のカビ病に利用された。したがつてグリセオフルビンが皮膚糸状菌に対しすぐれた作用があることが見い出され動物実験を経て人体の白癬症に応用されるまでには農薬としての利用からさらに約10年の歳月が必要とされた。これは実にOxfordの発見以来20年後であつた。こうして医学に導入されて以後は次々と臨床実験が報告されて我国においても1959年以降,多数の臨床報告が発表され今日の白癬症治療に偉力を発揮するに至つたのである。
ところで最近になつてグリセオフルビンの結晶を微細化することによつて,消化管からの吸収が増大し血中濃度が増大するため投与量を減らしても従来の投与量と同様の効果が得られるという事実が報告された。このことは治療の経済化の点からも,また従来から認められていた副作用がさらに軽減するであろうと考えられる点からも注目を浴びた。
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