Japanese
English
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微粒子化グリセオフルビンによる表在性白癬の治療成績
TREATMENT OF DERMATOPHYTOSES WITH FINE-PARTICLE GRISEOFULVIN
福代 良一
1
,
北村 清隆
1
,
池田 真康
1
,
熊谷 武夫
1
,
白崎 幸雄
2
Ryoichi FUKUSHIRO
1
,
Kiyotaka KITAMURA
1
,
Masayasu IKEDA
1
,
Takeo KUMAGAI
1
,
Yukio SHIROSAKI
2
1金沢大学医学部皮膚科学教室
2農協高岡病院皮泌科
1Department of Dermatology, Kanazawa University School of Medicine
2Dermato-Urological Clinic, Takaoka Agricultural, Hospital
pp.849-853
発行日 1963年9月1日
Published Date 1963/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203595
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I.はじめに
グリセオフルビンが白癬の内服治療剤としてすぐれたものであることは周知の通りである。他方グリセオフルビンが消化管からの吸収のあまり良くない物質であることも判つている。したがつてこの物質に関する最近の研究のひとつは消化管における吸収をいかにして良くするかに向けられている1)。グリセオフルビンの吸収2)はおもに十二指腸で行なわれ,若干は空腸と廻腸でも吸収される。ただし,吸収率3)は低く,血中濃度は投与量に比例せず,投与量の対数にほぼ比例する。したがつて,投与量を増しても血中濃度の上昇はさほど顕著でない。Atkinson他4)は,薬物が一般に微粒子化されることにより溶解度が増し,溶解度の如何が吸収率を左右する事実に注目し,粒子の大きさの異なるグリセオフルビンについて,それらの吸収率を調べた。それによると,同一投与量の場合,粒子の大きさの小さいほど吸収率が高く血中濃度は粒子1g当りの総表面積(Specificsurface area,以下S.S.A.と略)の対数に比例するという。たとえば,従来のグリセオフルビン(S.S.A.約0.4m2/g)と微粒子化グリセオフルビン(S.S.A.約1.5m2/g)とを比較すると,後者は前者の半量でほぼ同じ血中濃度を示したのである。したがつてS.S.A.約1.5m2/gの微粒子化グリセオフルビンを使えば,投与量は従来のグリセオフルビンの半分でよいことになる。
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