Japanese
English
--------------------
女子尿道脱の1例—附・本邦文献の統計的観察
PROLAPSE OF THE URETHRA: REPORT OF A CASE AND REVIEW OF JAPANESE LITERATURE
中野 欣也
1
Kinya NAKANO
1
1新潟大学医学部泌尿器科教室
1Dept. of Urology, School of Medicine Niigata University.
pp.149-154
発行日 1960年2月1日
Published Date 1960/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202763
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
尿道脱は女性にのみ見られ,尿道粘膜が外尿道口より脱出するもので,尿道粘膜外飜症と呼ぶべきであるが,粘膜と共に粘膜下組織及び筋肉組織も共に脱出し腫瘤を形成することが多いので尿道壁脱出症とでも呼ぶべき疾患である。本症の歴史は古く,1732年Solingenの記載せるものが最初とされ,以後Kleinwächter(1891),Kümmell(1896),Singer(1898),及びSäuferlin(1926)等が詳細に報告している。本邦にては1905年谷本の症例を最初とし以後しばしば報告されており,落合(1941)は本邦文献上46例を集録しており,その後,占部・大西(1942)は自家経験例1例を加えて59例を,奥井・増田・児玉は1950年迄に自家症例4例を加えて65例を集めている。外国文献によると本症の発生頻度はほぼ5年間に20例となり,それほど多い疾患とは考えられず,落合もまた稀有なるものとしているが,国友(1918)は娼妓100名を検診し10例の尿道脱症例を認め,さほど稀な疾患ではないと述べている。私は占部・大西が59例を文献上より集録した1942年以後今日(1958)迄の報告例を集めたところ,私の症例1例を加えて61例を見出した。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.