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思いつくまま(6)
皆見 省吾
Seigo MINAMI
pp.105
発行日 1960年1月1日
Published Date 1960/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202752
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このごろ学徒の洋行がかなり多く,欧米の学会に出張する教授も多い。戦時中とは異なり,結構なことである。ことに飛行機によつて短時日に往復できるのは昔と違つて甚だ都合がよい。ロツクフエラーその他,欧米より旅費あるいは生活費を補助されるのは非常に有難いが,闇弗を都合して行く人には心苦しいことも多いであろう。
闇ドルの行われるのは公然の秘密であり,わが国の金子が出るのは同じことでありながらそれを許さぬ政府の方針は不可解である。首相その他,要路の人々の洋行は自由であり,然らざるものには洋行が窮屈なのは民主的でない。これは米の公定価格が闇米と変らず,配給米の質が悪くて,同じ配給所よりの闇米が上等なため配給米辞退が続出するのは当然であつて,しかも米の自由販売をしないのと一脈相通ずるものであり,明瞭を欠く次第である。
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