Japanese
English
特集 婦人の皮膚泌尿器科疾患
子宮頸癌の泌尿器科的影響について
UROLOGICAL INFLUENCE OF THE CERVICAL CANCER.
川井 博
1
,
杉本 学
Hiroshi KAWAI
1
1横浜市立医大泌尿器科
1Department of Urology, Yokohama University,School of Medicine.
pp.1051-1058
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202656
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
骨盤内の婦人科的臓器は解剖学的関係位置よりみて,膀胱,尿管に近接しており,殊にそれ等の悪性腫瘍は進行の程度によつて膀胱,尿管更には腎機能に種々なる悪影響を及ぼす事は周知の事実である。Long,Montgomery (1950)の婦人科的腫瘍性疾患の尿路への影響を調査した統計を見ると,379例の婦人科的骨盤内腫瘍患者の内,排泄性腎盂撮影によつて尿管の通過障害の発生率は卵巣の悪性腫瘍では69.2%,子宮癌では53.4%と極めて高率であります。一方子宮頸癌の死因の第1は尿管狭窄に起因する腎不全症である事はGraves (1936)を始め多くの学者の統計的観察より明らかで,尿管狭窄の発生が子宮頸癌の予後に重大な影響を与える点に於いて,本症と泌尿器系の関係は早くから注目されて今日迄詳細な研究が数多く発表されているが,その治療に関しては尚議論のある処であります。我々は子宮癌患者の5年間に於ける外来時の泌尿科的所見の統計及び少数例について尿管通過障害時と閉塞解除時の体液電解質の動態並びに狭窄部の組織学的検索を施行し得たので簡単な文献的考察と共に述べて見たい。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.