Japanese
English
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Thioctic acidの皮膚科臨床
CLINICAL EXPERIENCE OF THIOCTIC ACID IN DERMATOLOGICAL FIELD
野原 望
1
,
小山 文平
1
,
大森 純郎
1
Nozomi NOHARA
1
,
Bunpei KOYAMA
1
,
Sumio Ōmori
1
1岡山大学医学部皮膚科泌尿器科教室
1Department of Dermatology and Urology, School of Medicine, Okayama Univ
pp.607-611
発行日 1959年6月1日
Published Date 1959/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202576
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近時医薬品としてビタミン剤は抗生物質と共に最も多量,且広範囲に利用されているものであるが,このような趨勢は皮膚科臨床の領域においてももとより変りはない。近代皮膚科学は皮膚病変を内在的病的過程の反応顕現として,全身性現象との関連において理解しようとする傾向が特に強いが,考え得る種々の内在的病的過程の内,重要なものの1つとしてビタミン代謝の異常がある。ビタミン類の中でも殊にB群は生体細胞の呼吸に際し,糖質の酸化過程にとつて欠くことのできない諸酵素の補酵素として,微量で以てしかも極めて重要な生体機能に参画しているものであるが,しかもこれらB群ビタミンは体内諸臓器中殊に肝において最も豊富に貯蔵され,その多くのものは活性化された型で肝の細胞内物質代謝に関与し,その欠乏はやがて肝機能障碍を招来する。このような生体内におけるビタミンB群代謝異常の影響が早晩皮膚に投影され,一定のいわゆる皮膚病変準備性の一環を醸成するものと考えられる。このようなビタミソB群—肝機能—皮膚病変間の相互的消息については先般既に他誌1)に論述したので重複を避けるが,この度われわれが取上げたチオクト酸は,近来次々と登場して来るB群ビタミンの中でも最も新しいものの1つであり,1955年ナポリにて開催された第1回チオクト酸国際シソポジウムにおけるRausch2)の肝性昏睡に対する劇的効果の報告以来俄に世の脚光を浴びるに至つたビタミンである。
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