Japanese
English
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Diphenylpyralineと慢性蕁麻疹
DIPHENYL PYRALINE TO CHRONIC URTICARIA
神村 瑞夫
1
,
阿部 厚三
1
,
矢野 進
1
,
佐藤 昌三
1
Mituo KAMIMURA
1
,
Kozo ABE
1
,
Susumu YANO
1
,
Schozo SATO
1
1札幌医科大学皮膚泌尿器科教室
1Department of Dermatourology, Sapporo Medical College
pp.613-617
発行日 1959年6月1日
Published Date 1959/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202577
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慢性蕁麻疹に対しては古くから幾多の療法が行われているが,仲々満足すべき結果がえられていない。その原因は本症は主としてアレルギーに基づく疾患であるが,この種の疾患の恒として副交感神経系の局所性異常という体質的な背影があることと,本症におけるアレルギー症候発症の原因が多種多様の物質的及び物理的なものに精神的要素さえ加わり一様でなく,しかも一旦発症すれば他の異つた原因によつても容易に発疹するなど極めて複雑であるために,患者個人個人についてその発症要因を詳細に検討してもその原因を把握しえないことが多く,またその原因が判明しても日常生活上或は臨床上原因除去が不能の場合も少くないためであるといえる。ために本症の治療には常時発症原因探究に努めることは当然であるが,臨床的には長期間に亘り日夜襲来する膨疹。掻痒・不快感等厭うべき諸症候を除去するための対症療法をとらざるを得ない現況といえる。
近来本症の治療剤としては血管収縮剤・鎮静剤・自律神経安定剤・ステロイドホルモン・Histamine-lioerator等多くのものが用いられているが,概して所謂抗ヒスタミソ剤(抗ヒ剤)が有効序列の上位にあり,一般的に用いられて良果をえている薬剤である。しかし本剤の効果は一般に一時的且つ短時間であり対症療法であるとの謗があるが,本剤の反復投与により症状の漸次軽減して治療に到ることが少くないのであり,またしからざる場合でも患者の苦痛とする掻痒の除去・膨疹の一時的とはいえ抑制効果の大なることは本剤を棄て難いものとしている。
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