特集 図説 胃と腸用語集2012
検査法・手技
酢酸撒布(acetic acid instillation)
前田 有紀
1
,
平澤 大
1
1仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科
pp.654
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113257
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消化管領域における酢酸撒布の報告は1998年Guelrudら1)によるBarrett食道焼灼後の遺残円柱上皮島の識別に関するものが最初である.その後,拡大観察併用2),胃癌での側方範囲診断3),NBI(narrow band imaging)併用拡大観察4),酢酸インジゴカルミン併用5),十二指腸や大腸への応用など様々な進展をみせている.
酢酸撒布法の原理は,pHの低下により粘膜細胞内のサイトケラチン重合化が促進され,粘膜表面が白色化することによる.円柱上皮では1.5%酢酸を撒布後,数秒で粘膜表面は白色化し表面構造が鮮明になる.その効果は可逆的であり,持続は数分程度と言われている.また,癌部は非癌部より白色変化が早期に消失するため,酢酸撒布後の経時的変化も胃癌の範囲診断に有用である3).
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