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海外トピツクス
pp.71
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201875
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肥胖細胞症
肥胖細胞は犬等の動物では集合し腫瘍を形成することが知られていたが,人間では最近迄肥胖細胞の集合を来す病理学的実体は色素性蕁麻疹のみであると考えられていた。これは無害な皮膚疾患とされていた。然るに1952年Sagher et al.により色素性蕁麻疹が汎発性或は限局性骨病変を伴うことが骨のX線像により証明され,これが皮膚病変と同一起源であることが認められた。この時のX線像は骨脆弱症様像であつた。以来該疾患々者の系統的なX線検査が行われ,Clyman et Reinの統計的観察により骨変化は色素性蕁麻疹に偶発したものではないとの結論が下された。色素性蕁麻疹に単球性白血病を併発した患者の剖検で骨梁間の肥胖細胞の集簇,fibrosisが見られた。白血病の併発はBalbi,Hermansの例,Tauraine et al.の仮性白血病の併発例もあり,偶発とは思えない。色素性蕁麻疹の剖検報告は殆んどなく,たゞEllisの肺浮腫で死亡した色素性蕁麻疹患者の剖検で生前骨変化の証明出来なかつた骨髄に多数の肥胖細胞を見出している報告がある。骨髄の塗抹標本で多数の肥胖細胞が証明されている(Balbi,Berlin等多数)。又該疾患時に肝,脾の腫大が見られている(Berlin,Degos etal等多数)。
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