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汎発性鞏皮症に於ける諸検査殊に肺胞作用を中心とする呼吸機能検査成績について
上出 二郎
1
,
広根 孝衞
1
1金沢大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.1005-1008
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201837
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I.緒言
汎発性鞏皮症はKlempererの所謂膠原病(Co-llagen disorders)に属する全身性疾患であつて皮膚の病変と同時に骨,筋肉,内臓諸器官等にも病変を見る。皮膚に於いては先ず膠原線維の膨化,線維間浮腫,細胞浸潤,血管の浮腫並に細胞浸潤等によつてはじまり,後膠原線維の肥大,硬化,弾力線維の損粍破壊等を見るものであつて,膠原線維のフイブリノイド変性も亦見られる。筋肉,内臓諸器官に於ける病変も亦同様であつて,はじめ膠原線維のフイブリノイド変性及び反応性炎症として起り後には膠原線維の均質化及び硬化が主となる。また皮膚,筋肉,内臓等の小血管に閉塞性病変を見る。斯かる病変が食道を侵せば嚥下障碍を起し,心臓を侵せば心筋の萎縮及び線維化に因つて心機能不全及び欝血を起し(所謂Scle-rodermic heart disease),肺を侵せば肺機能不全を起す。心臓の変化は心電変化として現れる場合がある。また心肺機能の不全と胸腹部皮膚の硬化とが相寄つて呼吸困難を起すこともある。更にまた腎臓に於ては所謂wire-loop typeの糸毬体炎を起すことがある。
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