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絆創膏に依る皮膚反応の臨床的検討
土肥 淳一郎
1
,
平田 欣一
1
,
小島 隆輝
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科教室
pp.761-765
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201796
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緒言
絆創膏に依る種々の不快な皮膚反応は屡々臨床的に遭遇するにも拘らず,此等皮膚反応は一般に絆創膏を除去すると比較的速かに治癒する為に,之を主訴として来院する患者は稀であり,従つて従来この問題に関しては比較的等閑視されている傾向があつた。
外国では既にGrolnick,Sheldon,Hansel,Humphries,Gaul等により断片的の報告はあつたが,Peck,Russell等が始めて此の問題を系統的に研究発表した。翻つて本邦に於ては僅かに本年2月樋口教授がこの問題に就き述べている程度である。又本年9月北海道大学皮膚泌尿器科開講30週年記念学会に於て小堀博士より「セキスイパン」の皮膚科学的考察が発表されたが,この絆創膏はビニール性の製品であつて従来の絆創膏とは異りゴム,樹脂等が入つていないが為に,皮膚炎等の反応を生ずる事は比較的に少い。然し伸展性があり且セキスイパンの如き伸展性のある絆創膏にも適用し得る日絆薬品工業の特殊粘着力試験方法では,従来の絆創膏に比してセキスイパンは粘着力が可成り劣る。従つて絆創膏本来の意味としての固定を目的とする外科的方面特に整形外科方面の使川に於ては,従来の絆創膏を良しとしている。
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