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Sulfadiazineに依る淋疾治療
西谷 錦雄
1
,
小原 武
1
,
加藤 安彦
1
1北海道大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.194-197
発行日 1947年12月20日
Published Date 1947/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200054
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緒言
ペニシリンの登場によつて淋疾の療法が最近大きく轉換して來たが,我國の現状では未だペニシリンは入手が著しく困難であり,且極めて高價である。從つて遺憾ながら淋疾療法と云へば少くとも今日の處では矢張り專ら「スルフオアミド劑」に頼らなければならない状態にある。そこで我々は茲にSulfadiazineによる主として男子尿道淋に對する治療成績を記さうと思ふのであるが,少くとも我國に於ては未だこのものによる淋疾の治驗報告には接してゐないからである。
一體Sulfadiazineは1940年アメリカに於てRoblin,William Winnek,Englisch等が初めはBiittner,Wheeler,Johnson等の化學者が1933年に考案した方法(詳細略)を用ひて合成したものであるが,後にGuanidine Sulfatから簡單に大量を合成し成るに至つたものである。その化學構造式は2-aminobenzolsulfonamidのSulfonamid基の水素1個をpyrimidine核で置換した2-sulfa-nilamido-pyrimidine即ちSulfapyrimidineである。Sulfapyrimidineでは兎角Sulfapyridineと混同され易いのでPyrimidineがDiazine環である處からSulfadiazineと命名されたものである。
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