--------------------
絆創膏皮膚炎について
帷子 康雄
1
,
山辺 靖夫
1
Yasuo Katabira
1
,
Yasuo Yamabe
1
1仙台逓信病院皮膚科
1Dept. of Dermatology, Sendai Teishin Hospital.
pp.566-571
発行日 1957年7月1日
Published Date 1957/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201996
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
絆創膏(絆と略記)を使用する機会は臨床各科を通じて非當に多く,しかも絆による不快な皮膚反応も屡々見受けられる所であり,絆による皮膚炎の発生機転は既に諸家により注目せられ(Shel-don et al.,Humpbries,Peck et al.Gaulet al.,Russell et al),近年我が国に於ても(樋口・利谷・他,土肥・他,小堀・他,吉沢)かかる皮膚炎,刺戟反応等防止のための各種試作絆に関する研究が報告されている。我々は今回,従来より慣用されている絆による皮膚炎につき観察を行い2,3の検討を試みた。対象は昭和30年4月より同31年3月に至る1年間の当科に於ける各種皮膚疾患々者で絆を貼布後,その部位の所見を観察せる症例並に絆による皮膚炎を主訴として来院した症例を合せて396例である。使用した絆は日絆薬品工業の亜鉛華絆及び紙テープの2種類で,前者の主成分は生ゴム,亜鉛華,樹脂,油脂,黄蝋,後者は亜鉛華を含まず,粘着剤も少い。実際に当つては前者は幅0.5〜1cm後者は幅約1cmのものを貼用した。なお,絆皮膚炎の発現にはその化学的成分,貼布による物理的影響は勿論,気温,湿度,発汗状態,皮膚表面細菌等が関与することが諸家により指摘されているが,我々は日常の治療のため使用したもの故,気温,湿度,発汗状態等の条件を一定に保ち得なかつたことを附記する。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.